2009/09/26

Orientation Days! 2日目

オリエンテーション2日目、10時から18時半まで、ゴミの出し方など日常生活に密着した情報、最低限覚えておいた方が良いオランダ語(その名も”Dutch survival kit”)から警官による交通標識講座まで、ルーヴェンで暮らすための実用的な情報をみっちり聞きました。大学関係者だけでなく、市、語学学校、警察署が一体となっていて、留学生を受け入れる体制が良く整っているな、という印象でした。

さて、この日は夜10時から”International Party”という催し物がありました。立食パーティかな、それにしては時間が遅いな、などと思いつつ、会場の学生食堂”Alma 2”着きました。建物の中が薄暗くて、どうも想像していたのと様子が違います。入口で2ユーロ払うと、腕に蛍光塗料の判子を押されました。会場にはミラーボールが設置され、奥にはDJブースが見えます・・・。そう、学生食堂が一夜限りのクラブ(こちらの学生はディスコと呼びます)に変貌していたのです。


会場内にはビールサーバーがずらっと並び、学生ボランティアが新入生にビールを振る舞っていました(紙コップ1杯1.5ユーロ、決して安くはありませんが・・・)。同じアパートに住んでいるコソボ人や、1日目に知り合いになった台湾人学生とおしゃべりしながら3杯、4杯と飲み進むうち、ダンスフロアに人が徐々に高まってきました。12時頃になると押し合いへし合い状態です。これは黙って見ているわけにはいかないと、私もダンスフロアに突入しました。台湾人、ロシア人、インド人、スペイン人などと一緒に踊りつつ、肩を組んでラインダンスの真似をしたり、前後につながり長い列を作って会場を横断したり、何年ぶりかでクラブの大音響と熱気を堪能しました。私は疲れたので2時頃帰りましたが、後から聞いた話によると、4時過ぎまでやっていたそうです。みんな若いなあ!

10歳くらい年下の学生と遊んだ無理が祟ったのか、翌日は膝ががくがくでした・・・。

ベルギービール・ラリー(2009年9月26日分)

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“Delirium tremens”. 「アルコール依存症患者の禁断症状」という意味で、ラベルのピンクの象は泥酔したときに見える幻覚だとか。甘くて華やかなホップの香り。口に含むと、強めの炭酸と共に舌が痺れるようなスパイシーさを感じる。かすかに甘みもある。飲み込むとアルコールとスパイスで喉がじんわり熱くなり、後味はしっかり苦い。名前に劣らず強烈でうまい。

これまでに飲んだのは135種類。

2009/09/25

ベルギービール・ラリー(2009年9月24日分)


1. 地元Leuvenの醸造所兼ブラッセリー”Domus”で飲んだ”Ochtendkriek van Domus”. サクランボビールだが全然甘ったるくない。程よい酸味が心地よく、飲みやすくて美味しい。
2. Dupont醸造所の”Bons Vœux”. ブルーチーズのような、甘くてちょっと癖のある香り。味もほんのり甘みが感じられ、後味は結構苦い。チーズの香りを感じたのは初めてで、この醸造所は個性的なビールを造るなあ、と改めて実感した。このビールも味わい深く、印象に残る。

これまでに飲んだのは134種類。

2009/09/24

Orientation Days! 1日目(続)

Latre教授の次の話は、ルーヴェンカトリック大学の始まりについてでした。13世紀頃、フランドル地方はイギリスから羊毛を輸入し、織物を仕立てて輸出することにより、莫大な富を得ていました。しかし、英仏100年戦争の影響を受け(詳しい事情は聞き取れませんでした)、14世紀後半には羊毛を輸入できなくなりました(教授はこれを”Wool crysis”と呼んでいました)。商人達は高くなった生活水準を保つために、他の商売を始めなければなりませんでした。さてどうしたか?

ブルージュでは小さくて精密な描写が特徴の絵や、レース編みを始めました。リエージュでは金属加工。ブリュッセルはタペストリー、アントワープは印刷業を始めました。これらに共通するのは、「安い、あるいは少量の原料に高度な加工を施して付加価値を高める」という点です。この時代の名残で、現代でもベルギーのどの地方でもこうした加工品を見つけることが出来るそうです。さて、ルーヴェンは「羊毛危機」にどのように対処したのでしょうか。

ルーヴェンは一風変わった作戦を採りました。羊毛危機で空っぽになった織物市場の建物を、大学として再利用する、というものです。学生というタダの「原材料」に「教育」という加工を施し、授業料という「対価」をせしめる、というわけです。また、当時も学生はたくさんお酒を飲みましたから、それを見込んでビールの醸造所もできました。こちらも、あちこちで採れる大麦を加工し、付加価値をつけて売る、という点が共通しています。現在まで大学も醸造所(世界一のInBevです!)も残っているところをみると、この作戦は大成功だったということでしょう。なお、大学は1425年に設立されました。

さて、初期の大学で教鞭を執った著名人として、教授はエラスムスを挙げました。当時、カトリック教会ではラテン語が絶対視されており、ミサは全てラテン語で行われ、ラテン語が分からない庶民には理解できなかったそうです。そのため、庶民は聖職者が聖書について語る解説をそのまま信じるしかありませんでした。エラスムスは、ギリシア語聖書の新版を作ることにより、庶民が聖書を直接読むきっかけを作ったそうです。教授は、デモクラシー思想の源流になった人物だと大絶賛していました。そして、エラスムス以上に力を入れて紹介していたのが、William Tyndaleという、エラスムスと同時期に大学生だった人物です。彼は、聖書を初めて英訳して出版しました。教授曰く、「”Let there be light (光あれ)”などの聖書の名言も、”socket(ソケット)”という日常用語も、彼が生み出したもの。近代英語はシェークスピアではなく、Tyndaleが作ったのだ」とか。

聖書の話が出てきたところで、会場の学生から質問が飛びました。「この大学は名前に『カトリック』が入っているが、教会との法的関係はどうなっているのか。」教授が答えて曰く、「確かに、この大学の最高意思決定機関は高位聖職者からなる委員会だ。また、大学の学長は、遺伝子組み換え実験などについて、ローマ法王に報告しに行かなければならないこともある。これは、Katholieke Universiteit LeuvenとUniversité catholique de Louvainの両方に共通している。」おっと、大学の自治や自由といった概念から外れている気がします・・・。しかし、と教授は続けました。「ベルギー人は、『ルール』というものについてイタリア人と同じ感覚を持っている(会場は爆笑)。つまり、ルールというのは自分の身の丈よりも高いところにあって、いつか守れたら良いな、というもの。ローマ法王が『避妊は自然な方法しか認めない』と言ったとして、イタリア人がどう反応するか想像すれば分かるかな(会場はさらに大爆笑)。」その一方、イギリス人やオランダ人はルールを「最低限守らなければいけない基準」と考えているので、EU内で法律を制定する時に揉める、という話もしていました。カトリックとプロテスタントの違いなのでしょうか?

ここで時間が来たので、教授の話は終わりました。みっちり90分間、しかも英語なので聞き取るのは大変でしたが、全然眠くなりませんでした。むしろ、機会があればもっと話を聞きたいと思ったほどです。日本の大学の講義も、こうだったら良いのですが。

2009/09/21

ベルギービール・ラリー(2009年9月21日分)

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“Steen Brugge”. しっかりした麦の香り。飲むと、炭酸強めで酸味が効いている。ドイツのヴァイツェンを連想させる風味。後味はさっぱり。飲みやすいが、もっと美味しいベルギーの小麦ビールや、ドイツのヴァイツェンがある。

これまでに飲んだのは132種類。

Orientation Days! 1日目

私の所属するルーヴェンカトリック大学(Katholieke Universiteit Leuven)では、今日9月21日に新年度が始まりました。それに先立ち、16-18日に海外からの新入生向けオリエンテーションがありました。私は学生ではありませんが、「新人」ということで顔を出しました。印象に残ったことを書いてみたいと思います。

初日は大学と街の紹介です。街案内は、市のルーヴェン市のボランティアが学生を引き連れ、1時間半かけて街のあちこちを説明して回るという本格的なもの(私は長く滞在しているので参加しませんでしたが)。大学案内は、「ベルギーとヨーロッパにおけるルーヴェン」という題目の講演がハイライトです。大学の入学式にありがちな、お説教めいた話かと思っていましたが、良い意味で予想を裏切る、大変興味深い内容でした。

講演したのは、Latre教授という、フランス語圏にあるルーヴェンカトリック大学(Université catholique de Louvain)の先生です。そう、この大学は1968年に、オランダ語圏(ルーヴェン市に昔からあった方)と、フランス語圏(Louvain-la-Neuve=新ルーヴェンに新たに建設された)に分裂したのです。教授は、長くKatholieke Universiteit Leuvenで教鞭を執った後、Université catholique de Louvainに移ったという、珍しい経歴の持ち主です。話は、どういういきさつでこの大学が分裂したのか、というところから始まりました。

ルーヴェンはオランダ語圏のフランドル地方にありますが、大学の講義はフランス語で行われていました。また、市や大学の有力者にも、フランス語を話す人々(ワロン人)が多かったようです。それに対して、フランドル人の民族意識が高まり、”Leuven Vlaams - Walen Buiten(ルーヴェンはフランドル人のものだ、ワロンは出て行け)”というスローガンのもと、大規模なワロン人排斥運動に発展しました。これを沈静化するために考え出された解決策が、大学を2つに分割し、フランス語圏に新たな大学を建設する、というものだったのです。

教授は大変残念そうに語りました。「図書館の本も分割されました。例えば、続き物の1, 3, 5巻はこちら、2, 4, 6巻はあちら、というように。大変嘆かわしいことです。」このように言語対立が激しいこともあり、ベルギー人は国籍を問われた時、「ベルギー人です」と答えることにためらいを感じるそうです。そのためらいが、ベルギー人の何たるかを語っていると。しかし、と教授は続けます。2つの大学に、そしてフランドルにもワロンにも共通する物がある、と。そこでスクリーンに映し出されたのが、タッパーウエアでした。

会場は一瞬沈黙した後、爆笑の渦に包まれました。こちらの学生は、毎週末大量のタッパーウエアを実家に持ち帰り、「母の味」をたっぷり詰めてもらって、翌週頭にLueven, あるいはLouvain-la-Neuveに戻ってくるのが当たり前なのです。そして何と、一週間の汚れ物も全部持ち帰り、母親に洗濯してもらうとか。毎週末実家に帰る程家族との結びつきが強いのがベルギー人で、それを象徴するのがタッパーウエアだ、と言うわけです。家族との絆の強さは、学術的な調査でも明らかになっているそうです。何でも、大学が行った大規模なアンケート調査によると、フランス人は「地域」への帰属意識が強く、オランダ人は近代社会のモデルになった「国家」を一番の誇りにしていて、ベルギー人は一番大切なものとして「家族」を挙げているんだとか。だから、2つの大学の校章はタッパーウエアにすべきだ(現在は2校ともマリアとイエスの像)、と冗談を飛ばして、教授はこの話を締めくくりました。

話には続きがあるのですが、長くなるので今日はこの辺で筆を置きます。

2009/09/20

ベルギービール・ラリー(2009年9月20日分)

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1. “St. Feuillien Blond”. 華やかな柑橘の香り。口に含むと炭酸強めで、柑橘系の甘酸っぱさがあり爽やか。苦みはほとんど感じない。味わいがはっきりしていて美味しい。
2. “St. Feuillien Bruin”. 同じ銘柄だが、華やかさは感じられない。控えめなカラメルとアルコールの香り、飲むと甘みと酸味が感じられ、後からカラメルの重さと苦みがやってくる。こちらは控えめな味わいだが、なんとなく印象に残る。

これまでに飲んだのは131種類。

ドイツ旅行記その3・田舎を満喫

1. ザクセンのスイス
ドレスデンからちょっと足を伸ばして、「ザクセンのスイス」に行ってきました。『地球の歩き方』には「1時間くらい山登りするのでなかなかハード」と書かれていたので、楽な方法を探しました。まず、電車で”Stadt Wehlen”駅まで行きます。
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電車を降りて5分ほど歩くと、渡し船が見えてきます。これで対岸に渡ります。
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対岸には小さな町 (Stadt Wehlen) があり、教会の前に広場があります。そこからマイクロバスに乗りました。
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バスに揺られて30分。降りて5分ほど歩くと、そこには絶景が広がっていました。電車から降りた駅と渡し船も、遠くに小さく見えました。
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Stadt Wehlenの町に戻り、昼食を取りました。エルベ川を挟んだ反対側に、”Biergarten Pension”と書かれた建物が見えます。
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ペンションに長期滞在して、ある日はザクセンのスイスに行き、別の日は川遊び、その次の日はエルベ川遊覧、たまにはどこにも行かず昼からビールを飲む、といった感じでのんびり過ごしたら、最高だろうなと思いました。

(おまけ)ドレスデンに戻り、歩いていて見つけたものです。サムライ、ニンジャとはまた違った「勘違い日本」ですね。
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2. Werder
Werderはポツダム近郊の小さな町です。路線バスに乗って30分ほど。バスを降りて20分程歩くと、旧市街が見えてきます。
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町に入ると、石畳が残っており、静かで良い趣です。
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旧市街は川に浮かぶ島にあるので、漁が盛んなようです。小さな魚市場があり、魚はもちろん、ドイツ版魚肉ソーセージも売っていました。おっと、巨大な魚の頭が燻製にしてあります。こちらでは、魚拓ではなく実物を記念に取っておくようです。
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この町は商業的なワイン生産の北限だということです。当然、飲みました。
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白ワインとサクランボワインです。どちらもちょっと香りに癖があって、なかなか印象的でした。特に、サクランボワインの方は甘ったるくなく、これまでに飲んだフルーツワインの中では一番おいしいかな、と思いました。

ドイツの歴史や、新しいビルが次々に建つ都市も魅力的ですが、紹介したような田舎でのんびり過ごすのも良さそうです。ベルギー人の知人によると、モーゼル川流域がお勧めだとか。滞在費・食費が安い(ドイツで一番貧しい地域だからだそうです)、ライン川と違い、こぢんまりとしているので川遊びがしやすい、ベルギーから近い(車で2時間)、というのがその理由だそうです。

2009/09/19

ベルギービール・ラリー(2009年9月19日分)

“Corsendonk Pater Dubbel”. 8月8日に飲んだ”Agnus Blond”とは違い、こちらは褐色。柑橘、カラメル、アルコールが混じり合った香り。飲むとほんのりカラメルの甘みがして、後味はけっこう苦い。ぬるい方が美味しい。ゆっくり飲むのに良い。

これまでに飲んだのは129種類。

2009/09/14

ドイツ旅行記その2・DDR博物館

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DDR博物館は、ベルリン大聖堂近くにある、旧東ドイツの人々の日常生活をテーマにした博物館です。この博物館の特徴は、「手に触れ、体感できる」ということです。例えば、入り口近くに旧東ドイツの国民車「トラバント」が飾ってあり、実際に乗ることができます。「現在ではほとんど使われていない2ストロークエンジンが搭載されており、最高時速100 km」といった説明を読みつつ、細いハンドルやスカスカのアクセル・ブレーキに触れると、いかにボロい車かが実感できます。その一方、「トラバントを手に入れるためには、16年も待たなければならないこともあったし、良く故障するのでオーナー自ら修理する必要があった。だが、年を経るにつれて、オーナーは自分のトラバントに愛情を抱くようになり、トラバントに関する詩を書いたり、ジョークを言ったりしたのだった」という記述もあり、何となく懐かしいような気分も味わえます。その他にも、学生のノートを手にとって見たり、洋服に触れたり、放映されていたテレビ番組を見たりと、狭いながらも盛りだくさんの展示があります。

この博物館は、「旧東ドイツは紛れもない独裁国家だったが、人々はそこに住み、働き、愛し合い、家族を作り、幸せに暮らすことだって出来た。その生活とはどんなものだったのか?」というコンセプトで作られています。当然、旧東ドイツの粗悪な製品や宣伝放送といった負の側面もありのままに展示してありますが、それだけでなく時にユーモラスな、時には詩的とも言える展示や説明があり、それが大変魅力的です。その点、チェックポイントチャーリーにある「壁博物館」とは全然違います(冷戦時代からあったとかで、「壁」と東ドイツの政治体制がいかに非人間的か、という点が強調されていた気がします)。なお、博物館の展示内容は、下記の本にほぼそのまま書かれています。

私が一番印象に残った展示は、「東ドイツではヌーディズムが盛んだった」という展示です。人々が素っ裸で、満面の笑みを浮かべつつテニスに興じる記録映像や、海水浴を楽しんでいる写真が展示されています。何ともユーモラスで、思わず吹き出してしまいます。何でも、80%の人が一度は公共の場で裸になったことがあり、10%は定期的にヌーディズムを実践していたとか。なぜでしょう?「それは、性の解放とはあまり関係なく、むしろ東ドイツの硬直した体制に対する反抗という意味合いが強かった。また、裸は真の『階級差別からの脱却』の印でもあったのだ」との説明がありました。東ドイツにおける生活の滑稽さと、そうせざるを得ない程の抑圧、そしてささやかな幸せが、ヌーディズムに象徴されているような気がしました。

ベルギービール・ラリー(2009年9月13日分)

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1. “Gouden Carolus Classic”. 甘いカラメルとアルコールの香り。味もやはり甘い。ちょっと甘すぎる感じがして、あまり好きではない。
2. “Arabier”. 泡立ちが良い。ほのかなホップの香り。口に含むと、強めの炭酸と苦み、ほんの少しの甘みを感じる。苦みは長く続かず、後味はさっぱり。アルコール度数8%とは思えない飲みやすさ。ちょっとぬるめの方が、香り、味わいともに豊かで美味しく感じられる。

これまでに飲んだのは128種類。

2009/09/13

ドイツの旅行記その1・今なお復興期

8月後半にドイツを旅行しました。記憶が薄れないうちに、印象的だったことを書いてみたいと思います。

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ドレスデンでも、ベルリンでも、ポツダムでも、立ち入り禁止の更地や工事現場をたくさん見かけました。第二次大戦中、ドイツは国内が戦場になりましたし、爆撃を受けたドレスデンやベルリンは徹底的に破壊されました。また、東西ドイツに分裂していた時期は、「壁」があるために物理的に建物を修復出来なかったり(ベルリンのブランデンブルグ広場近辺など)、経済的理由で破壊された建物が放置されていたり(特に東ドイツ)、という場所が多かったのだと思います。そのため、今なお第二次大戦からの、そして東西冷戦からの復興期なのだと感じました。

日本だと、あちこちで工事が行われていると、「人気取りのばらまき、税金の無駄遣い」と感じてしまいます。ドイツでの「復興」には、誰がお金を出しているのでしょう?この疑問に、学会で知り合ったドイツ人が答えてくれました。曰く、「ドイツでは『統一税』のような税金があり、それがあちこちの工事の資金になっている。ただ、旧東独地域の街並みが新しくなる一方、西側が古いままということが結構あり、西側市民の間には不満も多い」とのことでした。

彼によると、旧東ドイツ地域ではあまり仕事がなく、賃金が安いため、西側へ移住する人が多いそうです。何でも、この20年で人口の半数が流出した都市もあるとか。統一のプロセスがいかに大変なものかを示す一例だと思います。ただ、彼自身は西側からCottbusという東側の都市に移住していて、自然が多い住環境に大変満足しているそうです。また、待機児童なしの公的保育など、旧東ドイツの優れた制度を取り入れても良いのではないか、とも言っていました。

新しい建物や人々の会話から、第二次大戦、東西冷戦という大きなマイナスから立ち直るという歴史的なプロセスを実感できるのが、他の国にはないドイツの魅力だと感じました。

2009/09/12

ベルギービール・ラリー(2009年9月11日・12日分)

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1. “La Trappe Witte”. 小麦ビールらしい華やかな香りと、その割には重めの飲み応えが印象的。
2. “Bink Blond”. 爽やかな麦とホップの香り。口に含むと柑橘のような甘酸っぱさがあり、後味はしっかり苦い。飲みやすくておいしい。
3. “Moinette Bruin”. 果実の香り、しっかりとした酸味があり、ほんの少しカラメルのような重さが感じられる。爽やかなので、以前紹介した”Hapje-Tapje”で飲んだときはフルーツビールを間違えて出されたかと思ったが、やはり普通のブラウンビールとは異なる味わい。アルコール度数8.5%とは思えない飲みやすさ。

これまでに飲んだのは126種類。

2009/09/08

ベルギービール・ラリー(2009年9月8日分)

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1. “Blanche des Honnelles”. 甘い柑橘の香り。口に含むとやはり柑橘のような爽やかな酸味が広がる。後味は少し苦い。”Dubbel Wit”というだけあって、他の小麦ビールよりも重厚。一気にごくごく飲む感じではないが、爽やかさと味わい深さのバランスが取れていておいしい。
2. “Oerbier”. はっきりしたホップの香り。飲むと甘酸っぱさが炭酸とともに口一杯に広がる。香りも味も、ラムネのような、ちょっと人工的な感じがする。が、飲みやすくて不快な感じはしない。一風変わったビール。

これまでに飲んだのは124種類。

2009/09/07

Belgian Beer Weekend in ブリュッセル

9月4, 5, 6日の週末、ブリュッセルのグランプラスで”Belgian Beer Weekend”という催し物がありました。名前の通り、多数の醸造メーカーが一堂に会して、いろんなビールが飲めるという素敵な企画です。以前紹介した『死ぬ前に飲みたいベルギービール100選』に載っている銘柄も飲めるということなので、丸2日間の休肝日を設けて体調を整え、6日(日)にはりきって行ってきました。

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お昼過ぎに会場に着くと、身動きが出来ないほどの賑わいです。もらったパンフレットによると、テントが24個あり、30の醸造所が参加しているということでした。

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まずは、会場外の窓口で王冠を買います。会場ではお金は使えず、王冠とビールを交換するシステムなのです。王冠1個=1ユーロで、1杯王冠2個から5個まで、いろいろなビールがありました。とりあえず15ユーロ分交換して、いざ出陣!です。

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会場に入ると、赤い帽子を被った人がたくさんいました。”Achouffe”という醸造所のキャラクターグッズで、小鬼が被る帽子です。渋いおじさまも被っていて、なかなかお茶目な感じです。テーブルには飲み終わったグラスが放置されたままになっており、石畳の地面はこぼれたビールでべたべたします。ん、何か臭うぞ・・・。どうやら、犬の排泄物(もしかして人の!?)のようです。あいにくの曇り空でしたし、落ち着いてじっくりビールを楽しめる環境ではありませんでしたが、そんなことに構ってはいられません。ベルギー人だけでなく、南アフリカ人、イギリス人、アメリカ人、たくさんのイタリア人、中国人、そして日本人もちらほらいて、皆がワイワイがやがや楽しそうに飲んでいます。我々も、ただひたすら飲むのみ!

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1. 好きな醸造所の1つ、Dupontの”Bio Fruits”. ほのかにリンゴのような甘い香り。フルーツビールだが甘ったるくなく、酸味と同時にしっかりした苦みがある。妻は「もっと甘いのが好み」と言っていたが、私にはこれくらいのバランスがちょうど良い。大変爽やかで飲みやすい。この日の1番。
2. Bavikの”Wittekerke Witbier”. 本当は別の醸造所の小麦ビールが飲みたかったのだが、売り切れていたので仕方なくこちらに変更。ほとんど香りはなし。しっかりした苦みがあって飲みやすい。まあまあ、といった感じ。
3. Boonの”Oude Kriek Boon”. わずかな甘い香り。味はかなり酸っぱい。飲んでいるうちに気がついたが、ちょっと腐敗臭っぽい香りもする。これが乳酸香というやつ?飲み口は割合さっぱりしているが、あまり好みではない。
4. Dupontの”Moinette Blond”. 強烈な苦みと、かすかな甘みを感じる。今まで飲んだベルギービールのなかで一番苦い。苦みのためかさっぱりした感じだが、飲んだときはそれほどおいしいと感じなかった。が、この記事を書いているうちに、もう一度飲みたくなるから不思議。うまく言葉に出来ない味わいがあったのだろうか。
5. Bavikの”Petrus Aged Pale”. 『死ぬ前に・・・』の本で「ペールエールをオーク樽で寝かせた普通でない、しかし本物のビール」と紹介されていたので、かなり期待した。飲んでみると・・・酸っぱい!ペールエールの味を想像していたので、かなりビックリ。果実の香り、ランビックビールのような酸味、かすかな塩味もあって、とても複雑な味わい。でも、普通の美味しいペールエールの方が好み。
6. 小鬼がトレードマークのAchouffeが作っている”Houblon Chouffe”. “Dobbelen IPA Trippel”と銘打っているだけあって、紛れもないIndia Pale Aleの味。ホップの甘い香り、飲み口と後味のしっかりした苦み。アメリカのIPAを飲んでいるかのようだが、香りは強烈な柑橘とは異なり、ちょっとまろやか。味覚があまり鋭敏でないので、このようなパンチの効いた味はかなり好み。
7. Van DenBosscheの”Buffalo Belgian Stout”. アルコール度数が前のものより低いせいか、ちょっと物足りない感じがした。が、ぬるくなるにつれて、甘い香りと甘みが立ってきて、ほんのりした酸味とちょうど良い感じに。Guinnessと同じスタイルだが、こっちの方が複雑な味わいで好み。
8. この辺から大分酔いが回ってきて、記憶がだんだんあいまいに・・・。カタツムリがトレードマークのCaracoleが作っている”Caracloe Amber”. メモには「カラメル香、酸味、後味も」と書かれている。酔っぱらって味覚が鈍ったせいもあり、あまり印象がない。
9. 妻が飲んだVan Honsebrouckの”Bacchus Framboise”. しっかり甘くて、正統派フルーツビールと言った感じ。妻は「おいしい」と喜んで飲んでいた。
10. 最後は超有名トラピストビール”Westvleteren”で締めたかったのだが、あいにく売り切れ。仕方がないので第二候補のAbaye du Val-dieuが作る”Val-dieu Gran Cru”を飲むことに。メモには「カラメル香、飲みやすい。苦みが少ない」と書かれているが、やはり記憶が曖昧・・・。

そんなわけで、途中で2回の休憩(フライドポテト&ベルギーワッフル)を挟みつつ、約5時間で10杯飲みました。久々に記憶が飛びましたね。最後の2-3杯は良く味わえず、もったいないことをしました。来年は最低2日間、できれば3日間参加して、じっくり飲もうと心に決めました。

参考までに、今回参加の醸造所とビールの一覧のリンクを下記に記します。

http://www.weekenddelabiere.be/en/pages/Bierkaart.pdf

これまでに飲んだのは122種類。