2009/11/30

小指と悪魔

今回はビールにまつわるオランダ語の話題です。

オランダ語にも、「とりあえずビール」にあたる言葉があります。ベルギーでレストランに入ったら、”Een pintje, alstublieft(イーンピンチェ、アッシュブリーフ)”と言ってみましょう。グラスビールが運ばれてくるはずです。eenは英語の”a”, pintjeは"「小さなパイント(1パイントは大ジョッキくらいの量)」、alstublieftは”please”にあたります。pintjeの語尾、”je”という接尾辞は「小さな~」という意味で、名詞であれば何にでもつけられるようです。個人の名前につけると、幼児に対する呼びかけみたいになります。例えば、「貴之」という名前の人を、親が「たかちゃん」と呼ぶ感じでしょうか。

さて、”Een pintje”と注文すると、出てくるのはその店が扱うラガービールです。「スーパードライ」「一番搾り」といった感じです。せっかくベルギーに来たのですから、他のビールも試してみましょう。メニューには"bier”と書いてあるので、すぐに見つけられるはずです。”Van ‘t vat”と書いてあるのが生ビールです。Vanは”from”、’t vatは”the barrel”です。日本では「やっぱ生が一番でしょう」という話になりそうですが、ベルギービールの場合、冷えすぎていて風味が今ひとつということもあります。そんなときは、”Flessenbier”、瓶ビールを選んでみましょう。普通のカフェで10種類くらい、多いところでは20-30種類くらい置いてありますから、店の人にどんな味か尋ねつつ、あれこれ迷うのも楽しいと思います。

ところで、Leuvenは学生の街ですから、当然飲み屋街があります。”Oude markt(old market)”という広場です。広場を囲むようにして、30軒くらいのバーが並んでいます。昔は、店によって集まる人の出身地が違っていたようですが(「青森屋」「沖縄亭」みたいな感じでしょうか)、今ではBGMが違います。オールディーズからレゲエ、ロックからテクノまで、結構多様です。どの店でも話が出来ないくらいの大音量で音楽をかけてますし、夜が更けてくると、混み合ってなかなかカウンターまでたどり着けません。そこで、Leuven独特の「手話」が生まれました。カウンターに向けて小指を立てて見せると、それは”Een pintje”の意味になります。これは一種の駄洒落で、オランダ語の小指 “pink”と”pintje”の発音が似ていることから来ているそうです。ラガービールでは物足りない、という人は、カウンターに向けて人差し指と小指を立て、「きつね」の形を作って見せましょう。”Duvel(悪魔)”という名前の、アルコール度数8.5%のビールが運ばれてきます。二本の指が、悪魔の角(耳?)を意味するという訳です。

ようやくタイトルの話に来たところで、今回は締めたいと思います。次回は・・・未定です(汗)。

2009/11/28

ベルギービール・ラリー(2009年11月27・28日分)

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1. Popperingeのビールフェスティバルで購入した”La Binchoise Blond”. 柑橘に渋みが入ったような香り。注ぎたてのうちは炭酸がきつくて味がよく分からないが、時間が経って炭酸が飛び、少々ぬるくなると、酸味、甘み、渋みのバランスが取れた味わいが楽しめる。後味は結構苦い。Leffe Blondのような華やかさはないが、なかなかおいしい。
2. 同じく”La Binchoise”の”Triple”. 華やかなホップの香り。かすかにカラメルのような甘い香りも感じられる。飲むと甘みと苦みがしっかりあり、味が濃い。食事には合わないかもしれないが、じっくり飲む分にはおいしい。Blondよりもこちらの方が好み。

これまでに飲んだのは165種類。

2009/11/26

愛していると言わないで

タイトルを見て、何事かと思いましたか?今日は、オランダ語の話題です。

9月の後半からオランダ語を習い始めました。週に3回、1回2時間ずつです。文法や単語は退屈なので、それ以外で面白いと思ったことを紹介して行きたいと思います。

今日のテーマはずばり「愛」です。オランダ語で「好き、愛する(like, love)」にあたる動詞は"houden van"です(常に"van"という前置詞がつきます)。"I love you"を直訳すると、"Ik hou van je"となります。Ik=I, hou van=love(一人称なので形が変わります)、je=youです。これに関してオランダ語の先生が解説をしてくれました。曰く、「直訳すればこうなるけれど、ベルギーでは滅多なことではこうは言いません。いかにも大げさで、恥ずかしいからです(生徒の一人が、アメリカ映画みたいってことだね、と付け加えていました)」。

で、実際にはどうやって愛をささやくかというと、"Ik zie je graag"だそうです。英語に直すと"I see you with pleasure"、日本語だと「君のことを好ましく思う」といった感じでしょうか。それこそアメリカ映画の影響か、欧米人は「愛している」とはっきり、しかも一日に何度も言うものだというイメージがあったので、ずいぶん柔らかい言い方だなあと驚きました。フラマン人(ベルギーの北半分、オランダ語圏に住むベルギー人)には、日本人に似た奥ゆかしいところがあるのかもしれない、とも思いました。

さて、この文章を習った翌日、同じ研究室の学生に、「愛してるってどう言うの?」を聞いてみました。返ってきた答えはやはり"Ik zie je graag". 少なくとも20代前半くらいの世代では、「愛している」とダイレクトに言うのは照れくさいようです。また、一緒にいたオランダ人留学生も、"Ik hou van je"とは滅多に言わない、と言っていました。この点では、オランダ人とフラマン人に違いはないようです(その他では、いろいろ違う点、というかお互いに違うと思っている部分があるようです。これについてはおいおい書きたいと思います)。

次回は、ビールの話です(これが一番大事!)。

2009/11/23

ベルギービール・ラリー(2009年11月22日分)

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“Drie Fonteinen”の”Oude Geuze”. ランビックビールは強烈に酸っぱいイメージがあるが、これは比較的まろやかで飲みやすい。が、こればかり750 mlはちょっときつい。酸味があって爽やかなランビックは食前酒にちょっと飲んで、後はビールらしいビールを飲みたいところ。やはりランビックはちょっと苦手・・・。

これまでに飲んだのは163種類。

2009/11/21

ベルギービール・ラリー(2009年11月20・21日分)

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1. 自家製ビールを出すブラッセリー”Domus”にて飲んだ、季節限定ビールの”Engel”. 飲みやすいが、特段の印象はない。自家製、しかも季節限定なので期待したのだが・・・。ここのビールは定番の”Con Domus”がおいしい。ちなみに、『地球の歩き方』にも載っている有名店なので、味、サービスの割にはちょっと高め。
2. Hopperingeのビールフェスティバルで買ってきた、La Binchoiseの”Biere des Ours”. 「熊ビール」という意味らしい。はちみつ入りで、ホップの効いたゴールデンエールに、甘い味と香りを加えたような感じ。おいしいが、ちょっと甘すぎ、後味が重い感じがする。はちみつなしの方が好みかも。

これまでに飲んだのは162種類。

2009/11/19

ベルギービール・ラリー(2009年11月19日分)

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“Faro Lindemans”. かなり酸味があるが、ほどよい甘さもがあり飲みやすい。バランスが良い。香りも味も「飲むお酢」に近いものがあると感じた。食前酒に良さそう。

これまでに飲んだのは160種類。

【番外編】
ビールではないですが、美味しかったのでスピリッツを一つご紹介します。

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出張先のオーストリアで購入した”Ziben Schnaps”. これを紹介してくれたオーストリア人によれば「松を使ったスピリッツで、ここでしか手に入らない」とのこと。写真では分かりにくいですが、ピンクがかった淡い茶色できれいな色です。松というだけあって薬っぽい香りですが、それが心地よいので不思議です。果実のスピリッツと違って甘ったるくありません。オーストリア人によると、「桃やら木イチゴやらのSchnapsは女性の飲み物」なんだそうです。日本で果実系サワーが「女性の飲み物」と言われているのと比べると随分違うなあと、 妙なところで感心しました(ちなみに、Schnapsの度数は40%前後です)。

これを買ったのは、”Vom Fass”という、お酒、オイル、お酢などの量り売り専門店。オーストリアだけでなくドイツでも見かけたので、チェーン店なんでしょう。自分の気に入った瓶が選べ、好きな量だけ詰めてもらえます。そして、レジで会計をする際に、店員がお酒の名前とアルコール度数を手書きで瓶に記入してくれます。店中に並んだお酒の樽を眺めているだけでも楽しいので(試飲もできます!)、日本にも是非進出して欲しいものです。もっとも、女性もスピリッツをぐいぐい飲む土地柄じゃないと、成功しないかもしれませんが・・・。

2009/11/18

ベルギービール・ラリー(2009年11月15日分)

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出張続きだったので久々に飲んだベルギービール。ちょっと早めのクリスマスエールで、”Leffe Kerstbier”. 麦の香り。果実のまろやかな甘みと、しっかりした苦みのバランスが良い。かすかにコリアンダーのような風味も感じられる。なかなか美味しい。

これまでに飲んだのは159種類。

2009/11/08

ドイツ旅行あれこれ

10月末から11月頭にかけて、仕事のついでにドイツのStuttgart周辺に出かけました。Bad Liebenzellという温泉町と、Esslingen am Neckerというワイン産地です。詳しいことは妻のブログに任せることにして、いくつか雑感を書きたいと思います。

1.良くできた乗換案内
ドイツ国鉄のホームページ(
www.bahn.de)では、ドイツ語、英語を含め9カ国語で電車・バスの検索ができます。すごいのは、ホテルなどの住所を出発地や目的地にしても検索でき、徒歩ルート、バス停などを地図で確認することができる点です。しかも、電車に関しては列車番号、発着番線、途中停車駅と時刻まで表示させることができます。これを印刷しておけば、空港についてから迷うことはありません。そして、駅の自動券売機でも同じようなことができます。住所での検索や地図の印刷はできないと思いますが、乗換案内はしっかり印刷できるので、急に思い立って移動したい時も安心です。旅行者に大変親切なサービスだと思いました。日本の公共交通機関も、日韓中英の4カ国語くらいで同じサービスを提供すれば、少ない投資で観光客を増やせるのではないかと感じました。

2.インターネットが旅を楽しくする
今回の旅行は、①仕事に行ける範囲のホテルを”Booking.com”で検索、②良さそうな町にあるホテルを見つけたらGoogle Mapで場所をチェック、③その町のホームページをチェック(ドイツ語のみだったらGoogle翻訳を利用)、④ドイツ国鉄のホームページで乗換案内を確認、といった感じで計画しました。それほど時間を掛けずに、もちろん業者は使わずに済んだので(航空券もeDreamsというサイトで予約しました)、インターネットの便利さを改めて実感しました。また、これほど便利でなければ、『地球の歩き方』に載っていない町に行こう、という気にはならなかったと思います。ドイツ人のおじちゃん、おばちゃんと一緒にサウナに入るという、とてもディープな体験ができたのも、インターネットのお陰だと感じました。

3.びっくりサウナ
さて、そのサウナですが、Bad Liebenzell, Esslingenの両方で入ってきました。日本の健康ランドみたいなものですが、湯につかるものではなく、プールで運動し、サウナで汗を流すための施設です。何と言っても、全て混浴、というのが特徴です。温水プールは水着着用ですが、サウナと付属の冷水プールは水着禁止です。Bad Liebenzellでは更衣室も男女一緒なので、異性に裸体を見られずに入浴することはできません。でも、ドイツ人にとってはそんなことは気にならないようです。サウナコーナーでは、バスタオルも巻かずに、男女が入り乱れて談笑する姿がちらほら見られました。まさしく、「裸のつきあい」です。慣れない私は移動する時はバスタオルを巻き、サウナに入るときはやっとの思いで外していました(バスタオルは自分の下に敷かなければならないので)。Esslingenの施設には、何とサウナコーナーにバーがあり(その名も”Sauna Bar”)、すっぽんぽんでビールを飲んでる人もいました。久々のサウナはとても気持ちが良かったですが、何とも落ち着かず、温泉に浸かって「ほっ」とするという感じではありませんでした(でも、思い切ってバスタオルを取り、冷水プールに飛び込んだら、開放感があってとても気持ち良かったです)。