2011/01/14

カメラ目線の秘密

ガー子ちゃん(現在2ヶ月)は、産まれて1ヶ月も経たない頃から、カメラ目線が得意でした。「ひょっとして賢い子かも」とか、「いやいや、こんなに早くから自意識過剰では先が思いやられる」などと親バカなことを思っていました。が、何のことはない、私たちが使っているカメラに秘密があったようです。

このカメラ、何かに似ていませんか?そう、目玉です。赤ちゃんは、白黒のコントラストがはっきりした模様が好きで、特に目玉模様はおっぱいに似ているので目で追いかけるのだそうです。ガー子ちゃんが産まれる前に買ったカメラですが、意外なところで役に立ちました。

ちなみに、このカメラの売りは「高感度」です。私が現在住んでいる部屋は夜になるととても暗く、オリンパスの一眼レフ(E-620)では写真がぶれてしまいます。ところが、手軽なはずのこちらのカメラ(IXY 30s)を使うと、フラッシュなしでもきれいに写せます。そんなわけで、日本からわざわざ持ってきた一眼レフはホコリをかぶったままです。

2011/01/04

クロアチアのローマ博物館

昨年の夏、休暇中にクロアチアのスプリットとフヴァルに行きました。料理はおいしいし、海はきれいだし、物価は安いし、そして眩しい太陽が見られるし、本当に良いところでした(詳しくは、妻perolinchoのブログをご覧下さい)。今更ではありますが、ローマ時代マニアの方にはたまらないスポットがありましたので、紹介したいと思います。それは、スプリット考古学博物館です。

スプリット周辺は紀元前の早いうちからギリシャの植民地で、その後は共和制時代、帝政時代を通じてローマの支配下にあったそうです。そのため、スプリット考古学博物館にはローマ時代の遺物が多数展示されています。中でも印象的だったのが、共和制時代から帝国崩壊までの約1000年にわたる硬貨のコレクションです。

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「ヨーロッパを創造した」天才カエサルが作らせたもの、

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悪帝として名高いネロの時代のコイン、

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そしてキリスト教を公認したコンスタンティヌス大帝のものなど、保存状態の良いコインがいくつもの棚に整然と陳列されています。1000年の長きにわたり、同じ国家が、こうやって脈々と硬貨を鋳造し続けたのだと思いをはせ、ちょっと背筋がゾクゾクするような感覚を憶えました。

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その他にも、博物館の中庭には、彫刻が素晴らしい石棺やモザイク画が無造作に置かれていて、かなり見応えがありました。この数ヶ月後に、ローマ帝国における大都市であったフランスはリヨンの博物館にも行きましたが、こちらの博物館の方が断然素晴らしいです(もちろん、リヨンには現役バリバリの円形劇場があって、それも大変素晴らしいのですが)。クロアチアには、その他にも「アドリア海の真珠」と謳われたドゥブロヴニクなど、魅力的な場所がたくさんあります。是非もう一度訪れたい国です。

2011/01/03

赤ちゃんをなだめるグッズ

perolinchoが書いた通り、昨年11月に娘が生まれました。「ガー子ちゃん」というブログ上のあだ名はあんまりだ、という声も聞かれますが、不機嫌な時のうなり声(?)はまるで痰が絡んだおっさんみたいなので、まあ仕方がないかなという気がしています。

さて、初めての子ども、しかも海外ということもあって、子育てはなかなか大変です。特に、最初の頃は泣きやまない、寝付かないということがたびたびあり、どうすれば良いのか分からずかなり苦労しました。最近になり、ガー子ちゃんをなだめ、寝かしつけるのに使えるグッズを見つけたので、ご紹介したいと思います。
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まず最初はドライヤーです。私は知らなかったのですが、ドライヤーの音を聞かせるのは、赤ちゃんをなだめる方法として有名なようですね。調べてみると、ドライヤーではないですが、ホワイトノイズ(テレビの砂嵐の音)を聞かせて新生児が寝るかどうかを研究した論文がありました。これによると、ホワイトノイズを聞かせた新生児の80%が寝たのに対し、聞かせていない新生児は25%しか寝なかったそうです。また、聞かせた音の大きさは屋内でかける掃除機、あるいは時速50 kmで走行する車の車内の騒音レベルに等しいとか。それから、お腹が空いている赤ちゃんには効果がなかったそうです。ガー子ちゃんも、洗面所の中でドライヤーの音を聞かせる(結構うるさいです)とほぼ一瞬で泣きやみますし、おっぱいが欲しいときはどうあっても泣きやみませんので、納得です。ちなみに、写真のドライヤーや格安スーパーAldiにて9ユーロで購入。使いすぎて1台壊してしまいました(笑)。

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お役立ちグッズの2点目は、ベビービョルンのベビーキャリアです。日本でも抱っこ紐として有名みたいですね。赤ちゃんを体の前におんぶするようにして使います。こんな感じ↓
トトがはりきって買ってきた だっこひも 
ガー子ちゃんは眠くなると「構って、抱っこして、寝かせて」と泣くのですが、これに応えて抱っこし続けるのはなかなか大変でした。ベビーキャリアを使うと、腕ではなく肩、背中、腰に赤ちゃんの体重が分散されるので、長時間抱いていても疲れません。また、両手が空くので、抱っこしながら他の作業ができます。それから、ガー子ちゃんはベビーキャリアに入れて揺すると、腕で抱っこしている時よりも早く寝付くようです。義母が「お腹とお腹をくっつけると、赤ちゃんは安心して寝付く」と言っていましたが、そういう効果があるのかもしれません。

2011/01/02

ベルギービール・ラリー

復帰第2弾の記事です。そういえば、中断前の記事でベルギーの政権が崩壊したことを書きましたが、何と未だに新しい内閣は組閣されていません。ベルギーの無政府状態は史上最長になったそうです。それでも国民生活が回るのは、地方自治体(ブリュッセル首都圏地域、フランデレン地域、ワロン地域)と言語共同体(フラマン語共同体、フランス語共同体、ドイツ語共同体)がしっかりしているからなのでしょう。逆に言えば、国の役割というのはその程度のものだ、と言えるのかもしれません。 
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“De Dochter van de Korenaar”の”Embrasse”. ブリュッセルのビール屋”Bier Tempel”で購入。大瓶だが6ユーロくらいでかなり高め。シリアルナンバーつき。最低でも5年間は熟成可能とのこと。香り、味ともに特に目立った特徴はないが、とにかくまろやかでおいしい。”Westvleteren 8(330 mlで10ユーロ!)”よりもコストパフォーマンスはかなり良いと思う。 
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“Duvel Triple Hop”. 以前一回だけ醸造されたがその後は商品化されず、Facebook上でファンが再度の醸造を求めて投票を呼びかけたビール(もちろん私も一票投じました)。Facebookでの投票が1万票を超えたのでもう一度醸造・販売された限定品。販売されたのを後から知り、スーパーを探し回るも売り切れでなかなか手に入らず、日本のベルギービール通販業者に注文して家族に送り、帰国まで保管しておくように依頼。その後、期待せずに立ち寄った近所のCarrefourで発見、迷わず購入。720 mlで11ユーロと、ベルギービールにしてはかなり高い。瓶についていた説明書によると、ドライホッピングを行っているそうな。豊かな香り。華やかで苦い。普通のDuvelをより強烈にした感じ。酔いが後を引く感じも同じ。おいしいけれど、普通のDuvelでも十分かな。日本の家族には、「送ったビール、飲んでも良いよ」と伝えました・・・。ちなみに、大晦日にスーパーDelhaizeに行ったら、ビールコーナーに山積みになっていました。何だよ、焦ることなかったじゃん・・・。

2011/01/01

幻のビール: Westvleteren

あけましておめでとうございます。気がつけば、半年以上ブログを更新していませんでした。忙しかったから・・・ではなく、なかなか新しいビールを見つけられなくなったのが理由です。あと、ベルギービールを飲む感動が薄れてきてしまって、記録を残そうというモチベーションが下がってしまったというのもあります。修道院ビールを飲むのが当たり前の日常(特にRochefort 10が好きです)・・・日本に帰ったら、なんて贅沢な日々だったのだろうと振り返ることになるんだと思います。

とはいえ、帰国まであと半年。「幻のビール」といっても良いビールを飲んだので、これをきっかけにブログを再開したいと思います。

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“Westvleteren 8”. 同じ銘柄の”Westvleteren 12”が国際ビールフェスティバルか何かで1位になって一躍有名になったビール。醸造している修道院が「生産量を増やさない、卸販売をしない」という流儀を貫いているため、入手困難な幻のビール。グラン・プラスの近くにある、観光客向けぼったくりビール店”Bier Tempel”で購入。なんと1本10ユーロ。アルコールと香辛料(たぶんヤチヤナギ)の香り。そんなにきつい香りではない。甘みはあまり感じず、後味はかなり苦い。確かにおいしいが、10ユーロは高すぎる。期待しただけにちょっと残念。”100 Belgian Beers to Try Before You Die!”によると、「若いものは濁った、未加工のダイヤモンドだが、熟成させると明るく輝く」とのことなので、もっと熟成させた方が良いのかもしれない。

2010/05/26

ベルギービール・ラリー(2010年5月26日分)

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1. “Gouden Carolus Cuvee van de Keizer Blue 2009”. はっきりしたカラメルの甘い香り。飲み口もかなり甘い。2009年産なので、熟成が足りないのかもしれない。それでも、甘ったるい感じはせず、適度に重くて良いバランス。おいしい。
2. “Witkap-Pater Stimulo”. ホッピーで爽やか。アルコール度数低めで飲みやすい。が、Taras Boubaと比べるとちょっと味が薄くて物足りない。3. “Witkap-Pater Dubbel”. ホップの華やかさとカラメルの甘みが程よく混じり合った良い香り。甘さ控えめ、酸味がちょっと効いていて、Dubbelにしてはサッパリ目の味わい。なかなか美味しい。
4. “Witkap-Pater Special”. ほんのりカラメルの香り。アルコール度数は5.5%と低めで、dubbelをもっと軽くしたような味わいだが、後味は苦め。炭酸少なめでちょっと水っぽく感じる。ちょっとぬるめの温度で飲んだが、かなり冷やした方がごくごく飲めて美味しいかもしれない。
5. “Super des Fagnes Blonde”. 甘さと薬っぽさが混じった様な、それでいて爽やかな香り。飲むと舌がちょっとピリピリするような刺激と、ほんのりした甘み、酸味が感じられる。後味は苦い。ちょっと変わった美味しいビールを飲むのは久しぶり。
これまでに飲んだのは252種類。

2010/04/27

政権崩壊

日本では首相がすぐ替わるような印象がありますが、ベルギーでは政権がすぐに崩壊するようです。4月22日(木)、Leterme首相が国王に辞表を提出し、26日(月)に国王が辞職を承認したため、現政権が崩壊しました。ネットの記事によると、Leterme首相が辞表を出すのは今回で5回目で、実際に辞めるのは2回目とのこと。何回も首相になるのはすごいですが、何回も辞めるというのもすごいな、と変なところで感銘を受けてしまいました。

さて、今回、そしてここ最近の政権崩壊劇の原因になっているのが、ブリュッセルとその周辺地域に設定されている「BHV選挙区」です。同僚から聞きかじったり、ネットで読みかじったりしたことをまとめると、

Flemish-Brabant州の選挙区は東のLeuven、西のBrussels-Halle-Vilvoorde (BHV)の2つ。
・BHV選挙区はオランダ語・フランス語併用地域であるBrusselsと、オランダ語圏であるHalle-Vilvoordeから成っている。
・通常の選挙区では、言語境界線を越えて投票することはできない。例えば、Leuven選挙区では、オランダ語圏(ベルギー北部のFlanders)の政党に投票することはできるが、フランス語圏(ベルギー南部のWallonia)の政党には投票できない。
・一方、BHV選挙区は言語併用地域を含み、またフランス語を母語とする住人が多い地域を含むので、フランス語圏の政党にも投票できるという特例が認められている。
・オランダ語圏の住人からすると、上記の特例は不平等である(フランス語圏の選挙区で、オランダ語圏の政党に投票できるところはない)。一方、フランス語圏の住人からすると、特例はフランス語を話す人々の権利を守るために必要な措置である。
・オランダ語圏、フランス語圏の意見が鋭く対立しているため、BHV選挙区の境界線を仕切り直す(例えば、Brussels選挙区とLeuven-Halle-Vilvoorde選挙区に分ける)などの提案が成されているが、妥協には至っていない。

といった感じになります。「ベルギー言語紛争の縮図とも言えるのが、このBHVをめぐる対立だ」と指摘もあるくらい深刻な問題で、解決にはほど遠いようです。ベルギーに対して尊敬、憧れとも言える思いを抱いていた私にとっては、先日の大きな列車事故に引き続き、今回の一件は少なからずショックでした。

長くなったので、ベルギーの尊敬できるところ、またベルギーが抱えるもう一つの問題については、またの機会に書きたいと思います。

最後に、今日のランチで聞いた同僚のやり取りを紹介しましょう。

同僚A(ドイツ人):言語対立なんてさ、ドイツ語圏の人達に解決してもらえばいいんじゃないの。彼らは少数派だから、オランダ語圏、フランス語圏のどちらにも偏らず、中立、公平な立場で事態を収拾できると思うよ(※ベルギーにはドイツ語を母語としている人が約6万人いて、ドイツ語も一応公用語です)。
同僚B(ベルギー人):ああ、そういえば前にもドイツ人がそういう感じで問題を解決しようとしたことがあったね(※暗に、第一次、第二次大戦中のドイツ軍によるベルギー侵略のことを言っています)。
同僚A:そうそう、あれはさ、少なくともベルギーに関してはうまくいったと思うだけどねー。

・・・文字にするとかなりきついやり取りですが、彼らは終始笑顔で楽しそうでした。でも、私にはどこでどう笑えば良いのやら分かりませんでした。文化の違いを感じる一瞬です。