2009/10/28

ビール祭り in Poperinge

10月24, 25日の週末に、Poperingeという町で”Karakterbieren Festival”というビール祭りがありました。Poperingeはベルギービールに使われるホップのほとんどを生産している町で、ベルギーの北西、フランスとの国境にほど近いいわば「辺境」です。個性的なビールが飲めることを期待して、妻と妻の母の3人で、一泊二日の小旅行に行ってきました。

ルーヴェンから電車を乗り継いで約3時間、Poperingeの町に着きました。期待したとおり(?)、小さくて寂れた町です。まずは宿泊先の“Hotel de la Paix”にチェックインし、ホテルのレストランで腹ごしらえをしました。

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準備体操代わりの一杯、”Watou’s Wit Bier”. 小麦ビールにしてはフルーティさ、甘酸っぱさが少なく、その代わり炭酸がきつめでほんのり渋みを感じます。爽やかで飲み心地が良いです(ちなみに、このレストランは大変美味しくて、昼、夜、昼と3回連続で利用しました。グルメ編は妻のブログ「ベルギーの小人の家から・・・」をお楽しみに)。

お腹が一杯になったところで、いよいよビール祭りの会場へ向かいました。会場はホテルの中にあり、300人も入ったら満杯になりそうです。入り口でビール券(一杯150ml=1.5ユーロ)を買い、中に入りました。なんだか高校の文化祭みたいな感じです。会場で飲めるビールのリストも素朴な、というか素っ気ない感じです。今回は時間に余裕があったので、飲む→ホテルで一休み→夕食→再び飲む、という肝臓に優しい(笑)飲み方をしました。

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1. Jessenhofkeの”Jessenhofke Maya”. ホームページを見ると、ほぼ個人経営のマイクロブルワリーらしい。珍しいので飲んでみた。ソーセージかパテのような変わった香りがする。炭酸強めで後味はかなり苦い。香りの割には飲みやすい。バランスが取れているということ?次回は別の銘柄を試してみたい。
2. Verhaegheの”Echt Krikenbier”. 乳酸香というのか、変わった香りがする。果実ビールにしては酸味、苦みが強く、かすかに甘い。普通の果実ビールと違って、インパクト大。
3. Duvel-Moortgatの”Liefmans Cuvee Brut”. 2と同じ系統のビールだが、もっと果実っぽいし甘い。飲みやすいが、飲み応えのある2の方が好み。
4. Het Sasの”Sasbrau”. ラガービール。日本のものよりも苦みがしっかりあり、炭酸が強く、味が濃い。アルコールも6.3%と高め。まあまあ美味しい。
5. Sint-Bernardusの”Grottenbier”. 売り切れだったクリスマスエールの代わりに、店員に勧められて。ホップの香りと、木のような香り。フルーティでバランスが取れている。すっと飲めるせいか、店員が「スペシャルなビールです」と言った割には、印象が薄い。
6. Nevejanの”Kerelsbier Blond”. 強烈な硫黄臭があって全部飲めなかった。生ビールだったので、サーバーの清掃不備だったのかもしれない。
7. De Leiteの”Famme Fatale”. 酸味と苦み、わずかな甘みのバランスが良い。後味は苦いが、軽い飲み口。
8. Het Alternatiefの”Hik Blond”. 酔っぱらった店員(お祭りなので店員もしっかり飲んでいる)に、「君はこの会場で一番重要なビールをまだ飲んでいない」と声を掛けられ、これも何かの縁と思って試してみた。リンゴのようなフルーティさがあり、酸味が爽やか。飲みやすくてうまい。店員が自信たっぷりなのもうなずける。
9. 同じくHet Alternatiefの”Bittere Waarheid”. Triple IPAと銘打っているだけあって、強烈に苦い。ほんのり甘く、苦みの割に後味はサッパリしている。今回のNo.2.
10. またまたHet Alternatiefの”Ambetanterik”. 夕食後ということもあり、お腹がたっぷんたっぷんになったので瓶ごと購入してホテルで飲んだ。ギネスと同じスタウトということだが、アルコールの香り、コーヒーのような風味、苦みがしっかりあり、ギネスより断然インパクトがある。決して飲みやすくはないが、寝る前に本を読みつつ、じっくり飲んだらとてもうまかった。今回のNo. 1.

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翌日は11時近くまで寝て、ちょっと町を観光した後、前日と同じレストランで昼食をとりました。前日の硫黄臭が何だったのか確かめるために、”Kerelsbier Blond”を頼んでみました。やはり、かすかに硫黄臭を感じる気がしますが、前日とは比べものになりません。ぬるくなるにつれて匂いは気にならなくなり、苦み効いていて美味しい普通のビールになりました。

昼食後は、「ホップ博物館」に足を運びました。ホップの栽培法、加工法(最近まで硫黄を使っていたそうです)、様々なホップの実物展示などがありかなり興味深かったのですが、ビールが飲みたいので、ささっと見てお祭りの会場に向かいました。

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11. Lefebvreの”Saison 1900”. 麦の香りがしっかり。炭酸強めで、リンゴのような酸味がある。爽やか。
12. Belgobeerの”Belgoo Magus”. ホップの香りしっかり。フルーティでかすかに甘く、サッパリしている。今回のNo.3. 他の銘柄も試したくなり、瓶も合わせて購入した。後日の試飲が楽しみ。
13. Het Alternatiefの”Tatsevoet”. 酸っぱい味で、ほんの少しカラメル香と甘みを感じる。おいしいが、前日飲んだ時ほどのインパクトはなかった。
14. 同じくHet Alternatiefの”Eerwaarde Pater”. 店員によると、「熟成させてあるので、ワインのような味がする」とのことだったが、酸味が強くてワインのようなコクは感じなかった。ワインと同様、若すぎて飲み頃ではなかったのかもしれない。

今回は、メンバーが3人で、一杯の量が150 mlと少なめで、しかも2日間あったので、いろいろなビールが飲めて大変満足でした。Leuvenでは見ない銘柄、特にHet Alternatiefのビールが飲めたのは大きな収穫でした。来年も是非行きたいと思います。

これまでに飲んだのは158種類。

2009/10/23

ベルギービール・ラリー(2009年10月20日分)

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Gentの地ビール、”Gentse Tripel”. 炭酸強めで、柑橘のような酸味がある。後味は結構苦い。爽やかで飲みやすい。

これまでに飲んだのは144種類。

2009/10/20

ベルギービール・ラリー(2009年10月18日分)

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1. “Campbell’s scotch ale”. カラメルの豊かな甘い香り。甘くて香ばしい味で、後味は苦い。本場のスコッチエールのような複雑さ、重厚さはないが、これはこれでおいしい。
2. “Leffe Radieuse”. ホップの華やかな香り。”Leffe Blond”も華やかだが、ちょっと違う。酸味と甘さ、少々の苦みを感じる。ちょっと重い。先日見学した”InBev醸造所(Stella Artorsで有名。ルーヴェンにあります)”の説明員によると、Leffeシリーズの中ではRadieuseのみが瓶内発酵させることができるとのこと。少し熟成させると重厚になって良いのかも。

これまでに飲んだのは143種類。

2009/10/17

ベルギービール・ラリー(2009年10月16日分)

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1. 本日は、Bioshopで購入したDupontのビールを2本。まずは”Biolégère”. 香りはあまり感じられない。口に含むと、細かくて強めの炭酸を感じる。酸味、渋みがあり、ラガービールのような風味も感じられる。後味は苦く、さっぱりした飲み口。『死ぬまでに飲みたいベルギービール100選』に載っているだけあり、なかなかおいしい。
2. “Moinette Biologique”. アルコールの香りが感じられ、飲むとほんのり甘い。後味の苦みが長くのこるが、さっぱりした感じ。”Moinette Blond”のような強烈な個性を期待していたので、ちょっと物足りなく感じた。

これまでに飲んだのは141種類。

2009/10/15

ベルギービール・ラリー(2009年10月14・15日分)


1. "Ciney Bruin". 麦とカラメルの香り。口に含むと炭酸が弱く、甘みはまあまあしっかりある。後味は残らない。Blondと同じく、物足りない。
2. Bioshop(自然食品専門店)で買った"Gagleer". ちょっと癖のある甘い香りがする。原材料を見ると、"Myrica gale(ヤチヤナギ?)"が入っている。甘い香りに反して、味は結構ドライ。ほんのり苦みが感じられ、後まで残る。さっぱり飲めておいしい。
3. 同じくBioshopで買った"Blanche du Hainaut". お気に入りのDupont醸造所の銘柄。Leuvenに来てすぐに、それと知らずに飲んでおいしかった印象が残っている。今回再飲してみると、さっぱりした酸味の中に、わずかに木樽のような渋みを感じた。Dupontが使う酵母の特徴?ただの飲みやすい小麦ビールでなく、一癖あるところが良い。

これまでに飲んだのは139種類。

2009/10/14

雪合戦!!!

今日は、KULeuvenのメイン図書館がある広場、Ladeuzepleinで雪合戦をしました。といっても、雪が降ったわけではありません。”Skikot”という旅行会社が、設立15周年を記念して学生向けに企画したのです。案内状曰く、「10月14日、広場は120トンの雪で埋まる。雪玉を投げ合って、雪合戦参加者の世界記録、3,749人を破ろう!」とのこと。こんなにおバカな企画、滅多に見られるものではありません。当然、参加しました。

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開始時刻の17:00近くに会場に入ると、既に学生で一杯です。中央にDJブースが設置され、テクノっぽい音楽がガンガンにかかっています。ビールやフライドポテトを出す出店もあり、既に酔っぱらって大声で歌う一団もいました。会場の端2カ所に雪が盛られており、水着に着替えて準備に余念がない学生も・・・。

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予定時刻を15分ほど過ぎて、「3,2,1」のかけ声と共に雪合戦が始まりました。2カ所に分かれて投げ合うのかと思いきや、最初から大混戦。雪が盛られている場所から離れていても、いつどこから雪玉が飛んで来るか分かりません。ちょっと前線に行ってみましょう。


人数が多いだけに、飛び交う雪玉の数も相当なものです。しかも、雪がかなり固いので、当たると叫びたくなるくらい痛いです。当然、当てられたらやり返す、という訳で、私も何発か投げました。雪玉に当たるかもしれないというスリルと、思いっきり雪玉を投げる爽快感で、なかなか楽しかったです。世界記録を更新できたかどうかは、分かり次第追記します。

【10月16日追記】
FacebookにあるSkikotの写真アルバムを見ると、「5,600-5,700人が参加し、新世界記録を樹立した」とあります。また、ドキュメンタリー風に、どうやって学生を動員したか、雪合戦の様子はどうだったかを紹介するビデオもありました(どちらもオランダ語ですが・・・)。

2009/10/12

ルーヴェン住民登録事情

今日、住所変更の手続きが終わりました。これで一通り市役所での手続きが終わったので、住民登録と住所変更について振り返ってみます。

【住民登録編】
7月3日(金)
入国後8日以内に市役所に出頭しないとVISAが無効になってしまうので、早めに市役所に向かいました。パスポートはもちろん、労働許可証、翻訳しアポスティーユを受けた戸籍謄本、無犯罪証明など、日本で用意した全ての書類を持参しました。昨年駅前にできた新しい”City Hall”の受付で用件を言うと、番号のついたチケットをくれました(銀行の窓口と一緒です)。この日は、窓口で言われるがままに書類を見せ、それを元に係員が赤いファイルに何やら記入していました。記入し終わると、「警察官が現住所(最初に入った大学寮)を訪問するので、それを待って下さい」と言われました。そのときはすぐに引っ越そうと考えていたので、 引っ越した場合の手続きを聞くと、2つのパターンがあるとのこと。

1. 警察官が来る前に引っ越した→市役所を再訪、最初から手続きをやり直し
2. 警察官が来た後に引っ越す→市役所からの招聘状 (Yellow Card)が来るまで待機

つまり、早々に引っ越すか、かなり後に引っ越すかの選択肢しかない、ということです。この時点で、引っ越す時期によらず、寮の滞在期間を1ヶ月に延長することにしました。なお、どちらの場合でも、VISAは失効しないとのことでした。

7月12日(日)
警察官が訪ねて来ましたが、不在だったので手紙が郵便受けに入っていました。苦労してオランダ語の文面を訳すと、「18日14:00に出頭せよ」とのこと(ちなみに、オランダ語圏の公式文書はオランダ語のみで記載する決まりなんだとか。外国人には迷惑な話です)。

7月18日(土)
指定された時間に警察署を訪れました。受付で手紙を見せると、奥に案内されました。パスポートや無犯罪証明のチェックの後、大学寮の詳細図を見せられ、住んでいる部屋を確認し、出された書類にサインして手続き終了です。今度は、「市役所からの手紙が来るのを待って下さい」とのこと。

7月28日(火)
市役所からの出頭通知が届きました。黄色い書類の空欄を埋めて、8月4日に来なさい、とのこと。この日以前に引っ越していたら、通知を受け取れないところでした。寮の滞在期間を延長しておいて正解でした。

8月4日(火)
黄色い書類を持参し、市役所を訪れました。今度は、書類を見ながら係員がパソコンにデータを入力していきます。途中、「出生地の記載方法が違う」と文句を言われました。黄色い書類には、翻訳した戸籍謄本の通りに記載しなければならないようです(だったら直接戸籍謄本を参照してくれ、と言いたいところです)。データが入力されたら手続きは終わりかと思っていましたが、「電子IDカードを発行するので、市役所からの連絡を待っていて下さい。だいたい1週間くらいです」とのこと。

8月17日(月)
この頃になると、日本と比べて事務手続きがかなり遅いことが分かっていたので、1週間ちょっと連絡を待ってみました。それでも梨の礫なので、手続きがどうなっているか市役所に確認しに行きました。すると、「サーバーにデータを入力する手続きが終わっていない。いつになるか分からない」と言われてしまいました。「2週間前に1週間でできると言われたし、明明後日からドイツ出張なのでどうしてもすぐにIDカードが必要だ」と言うと、「じゃあ担当の人間にお願いしてみる」とのこと。5分ほどして戻ってきた係員が言うには、「30分でできる」とのこと。30分でできることがなぜ2週間かけてできなかったのか不思議に思いつつ、証明写真を撮りに行きました(背景白無地のパスポート用写真以外は受け付けてもらえないのです)。再び市役所に戻ると、IDカードの発行は民間委託なので、スピード発行(中一日)するには一人145ユーロ必要だとのこと。がっくり来つつも、安心料だと思って仕方なく払いました。このとき、Annex 15という住居を証明する書類をもらったのですが、後から考えるとこれを持っていればベルギー国外に出ても大丈夫だったかもしれません。この時は、そこまで頭が回りませんでした。

8月19日(水)
民間サービスに高いお金を払っただけあり、翌日には電子IDカードができた旨連絡がありました。市役所に受け取りに行き、暗証番号を設定して(IC付のキャッシュカードと同じです)、ようやく住民登録手続きが終わりました。

補足
・出張前にIDカードが必要だったのは、IDカードがないと、最悪の場合再入国できなくなる、と聞いていたからです。おそらく、パスポートにVISAがあるのに住民登録してないのはおかしい、不法入国者か、といった疑いをもたれるのではないかと思います。
・ごり押しすれば手続きが早まりそうな気もしますが、知り合いのロシア人学生によると、「9月上旬に入国し、毎週市役所に通って確認してきたが、最短でもIDカードの発行は11月になると言われた」、とのことです。新入生が多いこの時期はどうしようもないのかもしれません。
・IDカードの有効期間は1年です。来年またこの手続きをするのかと思うと、ちょっと気が滅入ります・・・。

【住所変更編】
9月9日(水)
市役所に出向き、住所変更を申し出ました。新住所の証明として、アパートの賃貸契約書を持参しました。住民登録の時と同様、警察官の訪問を待つように言われました。

9月19日(土)
警察官がやってきました。パスポートとIDカードをチェックした後、アパートの詳細図を見つつ、どの部屋に住んでるか確認していました。差し出された書類にサインして、手続き終了です。「市役所からの手紙を待て」とのこと。

10月7日(水)
市役所から手紙が届きました。今回は日時の指定はなく、支所でも手続き可能と書いてありました。

10月12日(月)
Heverleeにある支所に行きました。手紙を見せ、IDカードを機会に差し込み、暗証番号を打つだけで手続きが終わりました。どうやら、IDカードに記録された住所を上書きしたようです。あっさり終わったので、何だか拍子抜けしてしまいました。

ベルギービール・ラリー(2009年10月11日分)

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1. “Ciney Blond”. 麦とホップの香りがするが、何となく薄い。飲んでみると、酸味、甘みが感じられるが、こちらも気が抜けた感じ。物足りない印象。
2. “De Verboden Vrucht”. 日本では「禁断の果実」という名前で売られている。ホップととがった感じの甘い香りがする。口の含むと、甘みと、ほのかに薬草のようなホップの香りが感じられる。後味は苦い。なかなかおいしい。

これまでに飲んだのは137種類。

2009/10/11

Orientation Days! 3日目

1. KULeuven vs. 東大
オリエンテーション3日目の午前中は、博士課程に進学、あるいはポスドク(博士号取得後、任期付研究員として働く人)として新たに加わった外国人向けの説明会がありました。まずは大学の概要紹介です。それによると、KULeuvenの総学生数(修士、博士課程含む)は約33,500人。内博士課程の学生は3,800人と言うことです。研究費は250百万ユーロ(約330億円)で、内50百万ユーロ(約66億円)が競争的資金(外部機関の評価を経て獲得した研究費)とのこと。誰かが「KULeuvenはベルギーの東大だ」と言っていたので、東大と比較してみましょう。
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KULeuvenの方が学部、修士の学生が多く、東大は博士課程の学生が多い
(1)ことが分かります。また、研究費は東大の方が多い(2)です。こうしてみると、KULeuvenはどちらかというと教育重視、東大は研究重視の大学なのかなと思います。つい最近発表されたTimes Higher Educationの”World University Ranking 2009”によると、東大は22位、KULeuvenは65位ですが、”Citation/ Staff Score (研究内容がどれだけ引用されたか)”と”International Staff, Student Score”でKULeuvenは東大を引き離しており、研究費が少ない割には頑張っているのではないかと思います。

(1) 東京大学ホームページより
(2) 国立大学法人等の科学技術関係活動に関する調査 参考資料(平成19事業年度)
http://www8.cao.go.jp/cstp/siryo/haihu77/siryo4-1-3-23.pdf

2. 充実した博士課程教育
次に、博士課程教育の詳しい説明がありました。まず、学生の約1/3が外国人という説明がありました(東大は17%)。外部から優秀な人材が来ることは、研究の面でも文化交流の面でも良い刺激になりそうです。その後、博士課程での必須事項(論文を書く、海外の学会で発表する等)の説明があり、続いて卒業後の進路について紹介がありました。それによると、卒業生の9%は大学に残って研究を続けるが、他は産業界、NGO、公務員、教育機関などに就職するそうです。また、労働力市場で博士号取得者が低く評価されているというデータを示しつつ、「就職に向け、研究以外のスキルを磨くことの重要性」を強調していました。当然、そのためのカリキュラムもたくさん用意されており、自己認識、タイムマネジメント、コミュニケーションスキル、リーダーシップ、組織マネジメントなどがあるとか。課程が始まる前に、課程修了後のキャリアパスを学生に意識させる点、また大学全体が組織的に博士のキャリア支援を行っている点が素晴らしいと感じました。

3. 入学試験なし!
午後は、Leuven市の南西にあるHeverleeキャンパス(理系学部が集まっている)のガイドツアーです。職員と学生ボランティアが、歩きながらキャンパス内にある城(現在は教室として使われている)や、学生食堂、学生寮などを紹介してくれました。休憩中に学生ボランティアと話す機会があったので、いろいろ聞いてみました。彼によると、大学入学に際して、ベルギー人には入試がなく、希望する大学に行くことができるそうです。ただし、入学後の進級試験は大変厳しく、脱落する学生も少なくないとか。彼自身は、KULeuvenがベルギーでUniv. Gentと並んでレベルが高いこと、国際的に有名であることから選んだそうです。自由に選べるとなると、皆が高レベルで有名な大学を選んで収拾がつかなくなりそうな気がしますが、おそらく入学後に進級できるかどうかを自分で判断し、各自が自分に合った大学を選ぶのでバランスが取れているのだと思います。自分の能力と適性を、試験の点数という客観的なデータによらずに自分自身で判断するというのは、非常に良いことだなあと感じました。機会があれば、どれくらいの学生がドロップアウトするのか、ドロップアウトした学生の進路はどうなるのか、といったことも調べてみたいです。おそらく、ドロップアウトすることは恥でも何でもなく、再チャレンジの機会が豊富に用意されていると思うので。