2010/04/27

政権崩壊

日本では首相がすぐ替わるような印象がありますが、ベルギーでは政権がすぐに崩壊するようです。4月22日(木)、Leterme首相が国王に辞表を提出し、26日(月)に国王が辞職を承認したため、現政権が崩壊しました。ネットの記事によると、Leterme首相が辞表を出すのは今回で5回目で、実際に辞めるのは2回目とのこと。何回も首相になるのはすごいですが、何回も辞めるというのもすごいな、と変なところで感銘を受けてしまいました。

さて、今回、そしてここ最近の政権崩壊劇の原因になっているのが、ブリュッセルとその周辺地域に設定されている「BHV選挙区」です。同僚から聞きかじったり、ネットで読みかじったりしたことをまとめると、

Flemish-Brabant州の選挙区は東のLeuven、西のBrussels-Halle-Vilvoorde (BHV)の2つ。
・BHV選挙区はオランダ語・フランス語併用地域であるBrusselsと、オランダ語圏であるHalle-Vilvoordeから成っている。
・通常の選挙区では、言語境界線を越えて投票することはできない。例えば、Leuven選挙区では、オランダ語圏(ベルギー北部のFlanders)の政党に投票することはできるが、フランス語圏(ベルギー南部のWallonia)の政党には投票できない。
・一方、BHV選挙区は言語併用地域を含み、またフランス語を母語とする住人が多い地域を含むので、フランス語圏の政党にも投票できるという特例が認められている。
・オランダ語圏の住人からすると、上記の特例は不平等である(フランス語圏の選挙区で、オランダ語圏の政党に投票できるところはない)。一方、フランス語圏の住人からすると、特例はフランス語を話す人々の権利を守るために必要な措置である。
・オランダ語圏、フランス語圏の意見が鋭く対立しているため、BHV選挙区の境界線を仕切り直す(例えば、Brussels選挙区とLeuven-Halle-Vilvoorde選挙区に分ける)などの提案が成されているが、妥協には至っていない。

といった感じになります。「ベルギー言語紛争の縮図とも言えるのが、このBHVをめぐる対立だ」と指摘もあるくらい深刻な問題で、解決にはほど遠いようです。ベルギーに対して尊敬、憧れとも言える思いを抱いていた私にとっては、先日の大きな列車事故に引き続き、今回の一件は少なからずショックでした。

長くなったので、ベルギーの尊敬できるところ、またベルギーが抱えるもう一つの問題については、またの機会に書きたいと思います。

最後に、今日のランチで聞いた同僚のやり取りを紹介しましょう。

同僚A(ドイツ人):言語対立なんてさ、ドイツ語圏の人達に解決してもらえばいいんじゃないの。彼らは少数派だから、オランダ語圏、フランス語圏のどちらにも偏らず、中立、公平な立場で事態を収拾できると思うよ(※ベルギーにはドイツ語を母語としている人が約6万人いて、ドイツ語も一応公用語です)。
同僚B(ベルギー人):ああ、そういえば前にもドイツ人がそういう感じで問題を解決しようとしたことがあったね(※暗に、第一次、第二次大戦中のドイツ軍によるベルギー侵略のことを言っています)。
同僚A:そうそう、あれはさ、少なくともベルギーに関してはうまくいったと思うだけどねー。

・・・文字にするとかなりきついやり取りですが、彼らは終始笑顔で楽しそうでした。でも、私にはどこでどう笑えば良いのやら分かりませんでした。文化の違いを感じる一瞬です。

2010/04/25

ビール祭り at ABS Drinks

4月24日(土)、25日(日)の2日間、先日紹介した”ABS Drinks”という酒屋でビール祭りがありました。新しく研究室に入った同僚(キルギスタン人と中国人)を誘って出かけました。

ルーヴェン駅で待ち合わせ、そこから352番のバスに乗ってちょうど20分。酒屋の中で飲むのかと思いきや、店の裏手に巨大なテントが建っていて、そこが会場でした。

101_1392

テントを通り抜けると、屋外にもテーブルと椅子がセットされていました。それに、子ども用の遊び場も。

101_1387101_1390

目の前に広々とした畑が広がっていて、なかなか気持ちが良いです。快晴だったので、上半身裸になって日光浴をしつつ、ビールを楽しんでいるお客さんもいました。

今回、3人が一致して美味しいと感じたのがこれ。

101_1389

Van Honsebrouck醸造所の”Cuvee du Chateau”. 10年寝かせたとかで、複雑かつまろやかな味わいでした。

101_1394    

この方は、ABS Drinksの店主Aさん。息子さんが2人いて、それぞれ名前の頭文字がBとS。全部合わせて”ABS” Drinksと名付けたのだとか。

このビール祭り、会場が広々していて景色が良く、ビールのお値段もかなりお手頃で、生ビール250 mlが1.2ユーロ(約150円)から、瓶ビール350 mlが1.8ユーロ(約225円)からでした。ビールの種類も約100種類と申し分ありません。ルーヴェンから近いのでホテルを予約しなくても良いですし、今まで行ったビール祭りの中では一番気軽で親しみやすい、という感じがしました。

来年はもっとたくさんの同僚を誘って行きたいと思います。

2010/04/05

ベルギービール・ラリー(2010年4月5日分)

P3293950P3303953P4023970P3293952P3303954P3313955P3313956P4023963P4034079P4044080P4044094P4054095
1. “Taras Boulba”. Extra Hoppy Aleと銘打っているだけあり、ホップの香りが華やか。口に含むと、強めの炭酸と苦みが相まって刺激的。ほんのり甘みも感じられ、フルーティでもある。後味はかなり苦い。アルコール度数低め(4.5%)で、さっぱり飲める。おいしい。
2. Taras Boulbaと同じ醸造所の”Zinne Bir”. こちらもかなりホッピーなビール。一口目の刺激がまろやかな分、後味の苦みと複雑さが増した感じ。Taras Boulbaもかなり美味しいが、こちらはもっと好み。
3. これまた同じ醸造所の”Equivox”. カラメル香がしっかり。甘みのある飲み口だが、香ばしさがあるので甘ったるくは感じない。後味は苦い。ぬるくなるとオイリーな感じが出てきて美味しい。 
4. ”3 Fonteinen”の”Oude Geuze Vintage”. Vintageというだけあって高い(3.3ユーロ/ 375 ml)。つんと鼻をつく乳酸香。強烈だが、まろやかさもあって不快ではない。口に含むとかなり酸っぱい。お酢を飲んでいるような感覚。甘みはまったくなく、舌に渋みのような、苦みのような重さを感じる。飲み込むと酸味で食道が熱くなるような感覚がある。保存状態の悪いビールとは明らかに異なる、「味」のある酸味だが、なかなか慣れない。これを「おいしい」と言えるようになったら、本当のベルギービール通なのかもしれない。
5. “Geuze Mariage Parfait 2005”. ほんのりぴんくがかったきれいな色。乳酸系の香り、はっきりした酸味、渋み、苦み。これもお酢っぽいが、3 Fonteinenよりもまろやかで美味しい。
6. “Hanssens Artisanaal”の”Oude Kriek”. 果実の甘い香り。Belle-Vue Kriekとは全然違い、しっかりランビックの酸味がある。甘みは微かだが、良いアクセントになっている。飲みやすい。
7. “Deus”. ベルギーで醸造し、フランスで熟成したのち、シャンパンと同じ方法で澱抜きをして作られる特殊なビール。果実のような甘い香りがして、飲み口はちょっとスパイシー。ビールとジンジャーエールのカクテル「シャンディ・ガフ」を思わせる風味。爽やかで飲みやすいが、アルコール度数11.5%なので要注意。
8. “XX bitter”. 爽やかな麦の香り。名前の通り、最初の一口からかなり苦い。舌がチリチリするようなスパイス感もある。後には苦みがかなり長く残る。ちょっと苦すぎる気もするが、刺激が欲しい時には良いかもしれない。
9. “'t Hofbrouwerijk hoftrol”. 柑橘系の華やかな香り。Orvalっぽい?酸味が程よく効いたフルーティな味わい。後からスパイシーさと苦みが感じられる。なかなかおいしい。
10. “'t Hofbrouwerijk hofblues”. チョコレート風の甘い香り。酸味、苦み、香ばしさ。さっぱりして飲みやすいスタウトビール。
11. “Grottenbier”. フルーティな香り。甘さ控えめでスッキリした飲み口だが、カラメルの重み、ホップの苦みも感じられる。バランスが良い。Bruinの中では一番好みかも。
12. “Bos Keun”. ホッピーで華やか、フルーティ。でも、「うん、うまい!」という感じがしない。バランスが悪いのか、保存状態の問題か・・・。
これまでに飲んだのは247種類。

ビールを求めて・・・

ルーヴェンにあるスーパーは一通り回ったので、そろそろ飲んだことのない、新しいビールを見つけるのが難しくなってきました。そこで、天気が良かった三月末の週末、新たなビールを求めてちょっと遠出をしました。
101_1212
自転車で一面に広がる畑を行き・・・
101_1213
うっそうと茂る林を通り抜けると・・・

101_1214
ABS Drinks”という酒屋にたどり着きました。中に入ると、倉庫の様な造りで、棚一面にベルギービールがならんでいます。500種類くらいはあるでしょうか。当然、見たこともない銘柄もたくさんあって、自転車のカゴに入る量を計算しつつ、ワクワクしながら買い物をしました。ビールに夢中になっていて気がつきませんでしたが、ワインコーナー、ウイスキーコーナーも充実していたようです。これは是非、再訪せねば・・・。

P3273947
今回買ったのはこちら。前面にならんでいるのは大体1-1.5ユーロ(127-190円)。後列右のコルク栓がしてあるものはランビックビールで2-4ユーロ(254-510円)。後列左の大きな瓶はシャンパン風の特別なビールで11ユーロ(1400円)。後列のビールはベルギーで買うにしては高い方ですが、それでもブリュッセルの観光客向けの店(De Bier Tempel)の半額くらいです。
このABS Drinks、我が家から約5.5 kmのところにあります。途中上り下りが結構あってなかなかきついルートですが、運動不足解消も兼ねて、ちょくちょく遊びに行こうかなと思っています。