こちらの買い物では、銀行のキャッシュカードを利用したDebit払いか、”Proton”というサービスを利用することが多いです。また、銀行口座がないと、日本からの仕送りを受け取れません。今回は、銀行口座開設と、関連するあれこれを紹介したいと思います。
1. どの銀行にするか
ベルギーの銀行に関しては、何の予備知識もありませんでした。以前紹介した『ベルギー生活便利帳』を見ると、INGという銀行だと、住民登録完了前でも、賃貸契約書があれば銀行口座が開設できると書いてあります。また、行員が英語で応対してくれ、しかもブリュッセルには日本人の行員もいるとのことです(連絡先も載っています)。いざというときは日本人行員にいろいろ聞ける、ということもあり、INGで口座を開くことにしました。なお、INGの普通口座”Green Account”は年間30ユーロの手数料を取られますが、カスタマーサービスを利用できるということなので必要経費と考えることにしました。
2. 口座開設に必要な書類
念のため、INGの日本人行員にメールで必要書類を問い合わせたところ、アパートの賃貸契約書でも大丈夫とのこと。そこで、アパートの賃貸契約が済んでから、賃貸契約書、パスポート、労働許可証、ルーヴェンカトリック大学発行の契約書(研究員として受け入れる、という内容です)、大学の身分証明証を用意し、ルーヴェンの目抜き通りBondgenotenlaanにあるINGの支店に向かいました。受付で「口座を開きたい」と申し出ると、「住民登録カードはあるか?」との問い。「今はないが、アパートの契約書でも大丈夫と聞いている」と言うと、「それでは受付できない。住民登録カードか、市役所が発行した書類が必要」との回答。日本人行員に確認してあったので、『ベルギー生活便利帳』を見せつつ、「ここにはINGの日本人行員のアドレスが書いてある。この人に聞いたら、確かにアパートの契約書でもOKと言っていた」と食い下がりました。その後受付嬢が上司に相談しに行き、しばらくして「では奥で口座開設を承ります」とのこと。受付嬢が必要書類を勘違いしていたのか、それとも根負けして特別に認めてくれたのかよく分かりませんが、とにかく口座を開設できることになりました。なお、口座開設に際しては、上に列挙した全ての書類のコピーを取られました。
3. 銀行員はとてもラフ
奥に通されると、Tシャツ姿(もちろん私服)の係員が対応してくれました。日本の銀行では考えられない程ラフな格好だったので驚きました。申込み書類に必要事項を書き込み、サインし・・・と手続きは順調でしたが、口座の種類や、費用に関する説明が全くありません。気になって聞いてみると、「今手続きをしているのはGreen口座で、年30ユーロの手数料が掛かります」とのこと。事前に知っていたのと同じだったから良かったですが、こちらが聞かなければ何の説明もないまま手続きが終わってしまうところでした。また、後から気がついたのですが、キャッシュカードの発行や”Maestro”サービス(EU圏内で、ATMやDebitサービスを手数料無料で利用できる)に関する手数料の説明がありませんでした。しつこいようでも、何のサービスがあるのか、どれくらいの手数料がかかり、いつ引き落とされるのか、ということをいちいち確認した方が良かったな、と後悔しています。
4. 口座は共同名義で
日本ではどうか知りませんが、ベルギーでは口座の名義を夫婦共同にすることができます(『生活便利帳』に詳しく書いてあります)。今回、「二人の名義にしたい」と言ったら、何枚かの書類にサインさせられ、キャッシュカードを2枚発行してくれることになりました。手続きが一回で済み、一つの口座でお金の管理をできるので便利です。
5. “Current account”と”Saving account”
口座開設の手続きが一通り終わると、係員が二つの番号を示しつつ、「こちらが”current account”の口座番号で、こちらが”saving account”の口座番号です。saving accountの方が利率が良いので、毎月50ユーロがcurrent accountからsaving accountに移されます」と言いました。よく分からなかったのでポカンとした顔をしていると、もう一度説明してくれたのですが、お金がない場合は50ユーロの移動は行われないということと、savingからcurrentにお金を戻すことはできる、ということしか分かりませんでした。後でdebitサービスを利用すると、currentの方から引き落とされました。currentは当面の生活資金用、savingは余剰分用、ということなのでしょうか。
6. トラベラーズチェック換金は時間がかかる!
口座開設の時に、日本から大量に持ってきたトラベラーズチェックも持参しました。防犯上、部屋に置くのも嫌だったので、全て換金することにしました。口座を開設したので、額によらず全て受け入れてもらえましたが、口座に入金されるまでに”couple of weeks”がかかるとのこと。後でネットバンキングで確認すると、「15営業日かかります」と書かれていてビックリ。たかが換金するのになぜそんなに時間がかかるのでしょう?今に至るまで口座には入金されておらず、海外キャッシュカードで生活資金を引き出しているので、トラベラーズチェックを持ってきた意味があまりありませんでした。
7. “Bancontact”と”Proton”
Bancontactは日本でもあるdebitサービスです。店で会計するときに、読み取り機にカードを入れて暗証番号を打ち込むと、直接current accountからお金が引き落とされます。面白いのは、余分に支払っておつりを現金で受け取れることです。例えば、30ユーロ買い物して、Bancontactで130ユーロ払い、100ユーロを現金で受け取る、ということです。スーパーの自動精算機にも同様の機能がついています。ATMに行くのが面倒な時に便利なのでしょう。一方、Protonは日本のSuicaにあたるサービスです。銀行のATMでcurrent口座からチャージし(こちらではLoadと言います)、会計時に読み取り機にカードを入れて使います(タッチ式ではありません)。こちらは支払額の確認のみで、暗証番号の入力は必要ありません。
8. ATMは故障しがち
INGのATMが、営業時間内なのに使えないことが1週間の間に2回ありました。また、カードが吸い込まれたまま戻ってこないことが1度ありました。受付嬢に言ってカードを返してもらいましたが、パスポートの提示を求められて焦りました(その時は持ってなかったのですが、口座開設で揉めて以来顔見知りなので大丈夫でした)。INGのATMが使えず、仕方なくNaamsesteenweg(中心部から外れた南の方です)にある別の支店に行ったところ、ここでは窓口で入金する形式でした。受付も感じが良く、ATMじゃないので故障の心配もないので、最初からこちらで口座を開設すれば良かった、と思いました。なお、ING以外のATMも良く「現在使用できません」という表示が出ています。日本のものよりもできが良くないのか、数が少ないので故障が目立つのかよく分かりませんが。
(8月12日追記)
9. ネットバンクは当たり前
INGの場合、グリーンアカウントの口座を開設すると、その日からネットバンキングが使えるようになります。このサービスは手数料無料で、日本の銀行にはない魅力です(『便利帳』によると、他の銀行でも同様のようです)。このネットバンキングサービスと、ATMの手数料が時間や銀行によらず無料なところが、ベルギーの銀行の良い点でしょうか。
※トラベラーズチェックの換金分が、15営業日を過ぎても一向に口座に振り込まれないので、昨日支店に行ったり、電話したり、メールしたりして連絡を取ってみました。ようやく掛かってきた電話によると、「担当者がバカンスで手続きが遅れている。明日の夕方までには手続きを終える」とのこと。バカンスが遅延の理由になるのか?とかなりびっくり(というかあきれました)。本日、ようやく振り込まれましたが、こちらからコンタクトしなければいつになった事やら。日本の銀行とはまるで違う、ということを改めて思い知らされました。