我が家では、一日に使えるお湯の量が決まっています。安い夜間電力を使ってお湯を沸かし、次の日に湧いた分だけのお湯が使えるという給湯システムだからです。沸かせるお湯が少ないのか、一人がバスタブにお湯をたっぷり張ってお風呂に入ると、それ以降はもうお湯が使えません。そのため、シャワーを浴びながらお湯を溜め、体にかかるお湯と、足首のちょっと上まで溜まった分で何とか暖を取るという毎日です。お湯を増やせないか家主に聞いてみましたが、”No”の一言で終わってしまいました。冬場にこの状況はなかなかきついので、たまにはゆっくりお湯に浸かろうと、ベルギーの南東、ドイツ国境にほど近い”Spa”という街に行ってきました。

Spaはローマ時代から温泉地として知られ、「リゾートスパ」の「スパ」はこの街が語源だとか(『地球の歩き方』)。まずは、温泉水を飲みに源泉へ。とてつもなくまずいという話は聞いていましたが、それこそ温泉の醍醐味というもの。楽しみに向かったのですが、目指す建物は工事用の足場に覆われていて中に入れません。通りすがりの人によると、「この建物は醜かったが、きれいにしているところだ」とか。外見はどうでも良いから、温泉水が飲みたかった・・・。
気を取り直して、それこそ「リゾートスパ」の一つ、”Les Thermes de Spa”へ。丘の上にあるので、ちっちゃなケーブルカーで向かいます。左が一般客用、右は高級ホテルの宿泊者専用です。
3時間17ユーロの入館料を払い、ICチップ内蔵のコインを受け取って中へ。これはドイツのスパと同じシステムで、このコインでロッカーの施錠、サウナゾーンへの入場、飲食や時間延長の精算が出来ます。まずは水着を着て、温水プールへ。これもドイツと同じで、水温はあまり高くなく、入っているとだんだん寒くなってきます。唯一暖かいジャグジーに入っても、なかなか体が温まらないので、早々に退散してサウナに向かいました。
サウナがあるフロアに行くと、水着を着た人がウロウロして、ドイツと違って水着OKのようです。入り口が二つあったのですが、その理由がよく分からないままに、思い切ってそのうち一つに入ってみました。中に入ると・・・皆スッポンポンです。慌てて引き返しました。入り口の表示をよく見ると、”Naturalist”と書かれています。なるほど、生まれたままの「自然な」姿が好みの人は、こちらの入り口から入るわけですね。もう1つの入り口には、水着着用のサインが書かれていました。まずは、こちらのサウナを試すことにしました。
水着着用サウナゾーンには、木の香りがする高温サウナと、”Hamamu”というトルコ式(?)スチームサウナがありました。ビックリしたのは、中学生と思わしきカップルが入ってきたこと。生意気にも、肩に手を回して、イチャイチャしています。その他にも、大学生らしきグループがワイワイしゃべっていたりして、何だか落ち着かない雰囲気でした。水着着用にして若者が利用しやすくしたということなのでしょうが、サウナはもっとのんびり、落ち着いて入りたいなと思いました(年を取った証拠・・・?)。また、「スパ」の語源になった街の施設にしては、サウナの種類が少なすぎるな、物足りないなと感じました。
そこで、“Naturalist”の方にはもっといろんな種類のサウナがあるに違いないと期待して、脱衣所で水着を脱ぎ、バスローブを羽織って(この日のために、わざわざバーゲンで買いました)、いざ”Naturalist”ゾーンに向かいました。中に入ると・・・あれ、やっぱりサウナは2種類しかありません。しかも、水着ゾーンと同じ高温サウナとHamamu。中高年以上の方ばかりで静かなのは良いのですが、やっぱり物足りないです。同じサウナに続けて入るのもつまらなくなって、結局、2時間足らずで出てきてしまいました。
Spaにはかなり期待して行ったのですが、ちょっとがっかりしたなというのが正直な感想です。同じリゾートスパなら、少々高いお金を出しても、AachenのCarolus Thermenで一日のんびりする方が良いと思います。ただ、Aachenはベルギー国外なので電車賃が高くつき、行き来に時間がかかるのでベルギーの他の温泉・サウナ施設を探してみたいと思っています。